筋疲労計測実験(第19-20回)

実施場所:東1-306

レポーター:森下壮一郎

「筋疲労計測実験」では,随意運動時の筋電図と発揮筋力との関係を調べる実習が行われました.具体的には,表面電極を用いて橈側手根屈筋上の筋電図を測定しながら握力計で握力を計測します.そして,積分筋電図や周波数のパワースペクトルを計算して,握力との関係性を調べます.

第19回

1日目は,まず座学で,筋線維の活動電位の発生機序や,運動神経による筋線維の支配関係,ホジキン・ハクスレーモデルによる活動電位を説明する等価回路などについて狩野教授によるレクチャーが行われました.次に,あらかじめ用意された測定装置による筋電図及び発揮筋力の測定を行いました.まず,発揮筋力の最大値を測定し,次に最大値の約10%,30%,50%,70%,90%の張力発揮を行って,握力を計測します.さらに,最大張力の10%,30%,50%値で60秒間の張力発揮を行って,筋電図を記録します.張力発揮時の筋力を1分間の維持は意外に難しいようで,「教科書通り」の値が得られる人もいれば,時間経過に伴って変化が大きくなってしまう人もいました.このとき,握力については30歳から40歳くらいが最も高く,加齢に伴う減少が少ないという豆知識も披露されました.

第20回

2日目は,前日に測定した筋電図および発揮筋力をTAが前処理したデータの解析を行いました.まず,積分筋電図と発揮筋力との関係性を確認する課題が与えられ,受講者はそれぞれ割り当てられたPCでグラフの描画を行いました.グラフを描画するときに,どの形式のグラフを用いるべきかは指示されませんので,適切な形式を選択できるか否かがポイントになります.次に,時間経過に伴う筋電図と発揮筋力との関係の変化をグラフ化しました.これは,時間経過に伴って生じる筋疲労の影響を調べるものです.最後に,積分筋電図と平均周波数の変位をグラフ化して,疲労に伴って平均周波数が変動する様子を確認しました.