第65回

日時: 2018年6月22日(金) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 佐藤俊治(電気通信大学・大学院情報理工学研究科 機械知能システム学専攻・准教授)
司会: 横井浩史 教授
題目: 中低次の視覚計算論と錯視
概要: 私は大学4年生時(23年前)には視覚や脳には興味がなく,コンピュータビジョン,特に文字認識装置に興味がありました.実際,文字認識の研究を始めたのですが当時はそして現在も認識率は100%に到達していません.そもそも100%とは何か?一つは「ヒトの視覚系による情報処理結果と整合するか否か」が基準になるでしょう.したがって,「ヒトの視覚情報処理の性質や仕組みが分かれば目的が達成されるだろう.」との思いから,視覚研究を始めました.しかしながら,視覚情報処理は非常に複雑であるため,文字認識に代表される高次視覚情報処理の記述や理解は進んでいません.本発表では私と指導学生が取り組んできた,中低次の視覚計算理論や数理モデルについて紹介します.また,ヒト視覚系とコンピュータビジョンの差である錯視やその数理モデルについても紹介します.
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp

第64回

日時: 2018年5月18日(金) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 平野 誉(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 基盤理工学専攻・教授)
司会: 丹羽治樹 特任教授
題目: ホタルの光の化学:基礎と応用の最前線
概要: 機能性物質の創製や新学問領域の開拓では、生物に学ぶ方法論は1つの重要なアプローチで、光を生みだす生物発光も科学の発展に大きく貢献してきました。多くの発光生物の光る機能は、ルシフェリン-ルシフェラーゼ反応と呼ばれる化学反応によって発揮されます。この化学反応は、反応に使われるルシフェリン分子数当りの光子の生成数(量子収率)が高く、様々な色の光を生みだし、点滅のような巧みな反応制御もなされる高機能な反応であり、基礎化学の視点でも魅力的な研究対象です。電通大は生物発光の基礎化学と応用で世界をリードしています。本講演ではホタルの発光を例に、化学研究の歴史から最近の基礎と応用の研究の発展状況を解説し、科学の常識であるホタルの発光の仕組みと利用するための基礎の理解を助けたいと考えています。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp

第63回

日時: 2018年4月27日(金) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 橋本賢一(防衛医科大学校 集中治療部・講師)
司会: 孫 光鎬 助教
題目: 心臓突然死に関する低侵襲的な診断・予防について
概要: ガイドラインでは、侵襲的な電気生理学的検査(EPS)が心疾患における致死性不整脈による突然死リスク評価のゴールドスタンダードです。EPSでの心室細動、心室頻拍などの致死性不整脈の誘発が植込み型除細動器(ICD)の手術適応根拠となります。一方、非侵襲的心臓突然死リスク検査項目として心室遅延電位(SAECG)、マイクロボルトT波オルタナンス(TWA)、心拍変動解析(HRV)及び心拍タービュランス(HRT)の有用性が報告されているもののEPSの代用には至っていないのが現状です。近年Holter心電図でも24時間のLP, TWAの評価が可能となり検査精度が高まりつつあります。本講演においては、Holter心電図で計測可能なこれらのSAECG, TWA, HRV及びHRTについてのレビューを行い、より低侵襲な心臓突然死リスク評価の可能性を探ります。一方、従来のICDより低侵襲で合併症を低減することが期待されている完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)・着用型自動除細動器は実臨床での使用が広まっています。これらの新しいデバイスの適応及びup dateな話題について触れます。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp

第62回

日時: 2018年3月26日(月) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 北田 亮 (南洋理工大学シンガポール 社会科学部 准教授)
司会: 宮脇陽一 教授
題目: 触覚によるテクスチャに関わる脳内ネットワーク
概要: 私たちは触覚によって素材の特徴を抽出することができます.触覚に関する工学的研究が注目される一方で,触覚による物体知覚に関わるメカニズムについては不明な点が多くあります.私はこれまでに触覚による物体知覚に関わる脳内ネットワークについて,機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて調べてきました.本講演では素材知覚に着目し,(1)物体の粗さ知覚や剛性の知覚には島部や二次体性感覚野が関与すること,(2) それに対し素材の意識的な知覚には一次体性感覚野が関与すること,(3)近年触覚への関与が示唆されている視覚野は意識的な素材の知覚には限定的な役割を果たすこと,について紹介し,現在の枠組みの問題点について説明します.
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp

第61回

日時: 2018年3月19日(月) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 坂本一寛 (東北医科薬科大学医学部神経科学教室 准教授)
司会: 樫森与志喜 教授
題目: 脳高次機能を複雑系創発現象として捉えたい
概要: 実世界では様々な想定外のことが生じ、それらに対し、その場その場で何らかの対応を求められる場合も多い。そのような学習の暇も与えられない状況に、生物は既存の機械よりはるかに高い対応能力を有しますが、その基盤として、複雑系としての脳神経系における創発現象があると演者は考えています。本講演では、そのような観点で取り組んできた脳高次機能の神経生理学的研究を紹介します。具体的には、行動計画を要求する課題を遂行中のサル前頭前野の神経細胞の同期発火、発火ゆらぎ、局所場電位の振動等を概観します。これらに基づき、脳活動の振動・同期の意義、更には、脳科学がこれからの社会に貢献するための方向性について私見を述べます。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp

第60回

日時: 2018年3月2日(金) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 川﨑元敬(高知大学 医学部 整形外科・講師)
司会: 小泉憲裕 准教授
題目: 集束超音波を利用した骨関節疾患に伴う慢性痛の治療
概要: 痛みの緩和は、いずれの骨関節疾患においても対処すべき重要な課題です。なかでも、長引く痛みである慢性痛は心身に影響を及ぼし、患者の活動性や生活の質を低下させます。このような痛みに対してさまざまな治療が実施されますが、できるだけ身体的負担が少なく効果的な治療法が理想的です。今回紹介する集束超音波治療は、体表に侵襲を与えることなく、多数の強力超音波を体内で集束させて熱による蛋白変性を利用し標的部位を治療します。これをMR画像の誘導により、安全にピンポイントの疼痛緩和治療が達成できます。この治療効果を生かして、痛みを伴う骨転移、慢性の腰痛や膝痛に対する治療を実施してきましたので、その成果と今後の課題について発表いたします。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp

第59回

日時: 2018年1月19日(金) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 瀧山 健(東京農工大学大学院 工学研究院 先端電気電子部門・准教授)
司会: 庄野 逸 教授
題目: 運動学習・運動意思決定における予測表現(Prospective coding in human motor learning and decision making)(講演は日本語)
概要: In our daily life, we make predictions in various situations, e.g., we predict tomorrow’s weather, outcomes of soccer matches, or stock price. In those predictions, our neural system receives some inputs (e.g., sky scene in predicting tomorrow’s weather) and represent future states (e.g., tomorrow’s weather). This representation of future states is referred to as prospective coding (ref. Komura et al., 2001). Here, I demonstrate that the prospective coding plays an essential role in human motor learning and motor decision making.          First, I explain about our computational model of motor learning. Diverse features of motor learning have been reported in numerous studies, but no single theoretical framework concurrently accounts for these features. We propose models for motor learning to explain these features in a unified way by extending a motor primitive framework (ref. Thoroughman & Shadmehr, 2000, Nature). Our model assumes that the recruitment pattern of motor primitives is determined by the predicted movement error of an upcoming movement (prospective error). I demonstrate that this model has a strong explanatory power to reproduce a wide variety of motor-learning-related phenomena that have been separately explained by different computational models.          Second, I explain about motor decision making in a competitive game. Although risk-seeking behavior in human motor decision making has been reported in several studies (e.g., Wu et al., 2009), those studies focused on an experiment with a single subject. In our daily life (especially in music or sports), our decision making (action selection) can be influenced by opponents in competitive games and partners in collaborative games; however, how decision making is affected by others remains unclear. Our experimental results demonstrate that subjects show risk-averse behavior at the onset of a competitive game, in contrast to risk-seeking behavior when they performed the same movement without any opponent. To understand the risk-averse behavior in a competitive game, we propose a computational model. Our computational model suggests that the risk-averse behavior is a result of optimization when our decision making is influenced by the predicted actions and results of ourselves and opponents (prospective outcome).          References: [1] K. Takiyama, M. Hirashima, D. Nozaki, Prospective errors determine motor learning, Nature Communications, 6, 5925: 1-12 (2015), [2] K. Ota, K. Takiyama, Competitive game influences risk-sensitivity in motor decision-making, Program No. 316.2. 2017 Washington, DC: Society for Neuroscience, 2017.
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp

第58回

日時: 2017年12月15日(金) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 五十嵐 潤 (理化学研究所 情報基盤センター 上級センター研究員)
司会: 山崎 匡 准教授
題目: エクサフロップス級計算機による人間の大脳皮質規模の神経回路シミュレーション
概要: 近年、スーパーコンピュータを用いた脳のシミュレーションが盛んに行われている。しかし、究極の目標である約1000億個の神経細胞と約1000兆個結合を持つ人間の脳の規模の神経回路シミュレーションは、現在の計算機では性能不足のため困難である。そこで、我々は2021年頃に完成する京コンピュータの次の世代のエクサフロップス級(1秒間に10の18乗の浮動小数点演算)の計算機を用いて、大脳皮質、小脳、大脳基底核からなる人間の全脳規模の脳シミュレーションを行い、運動や思考の解明を行うことを目指している。本講演では、私のグループが担当している大脳皮質のシミュレーションに関する取り組みを中心に紹介する。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp

第57回

日時: 2017年11月28日(火) 14:00-15:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 幸田和久(聖マリアンナ医科大学 医学部 生理学教室・教授)
司会: 松田信爾 准教授
題目: Cbln1-デルタ2グルタミン酸受容体シグナリングは、いかにシナプス形成・維持とシナプス可塑性を制御しているか?
概要: 脳の様々な部位で発生期から成体に至るまで生じているシナプス形成・維持とその可塑性は、脳がその機能を実現する上で必須の現象である。我々は、運動の協調性や運動学習に重要な役割を果たす、小脳の平行線維-プルキンエ細胞シナプスにおけるその分子機構について、特にCbln1-デルタ2グルタミン酸受容体(GluD2)シグナリングに焦点を当てて研究を進めてきた。本セミナーでは、GluD2及びCbln1欠損マウスを用いた表現型回復実験を通して明らかになった、平行線維-プルキンエ細胞シナプスの形成・維持と可塑性の特異なメカニズムを紹介するとともに、その普遍的意義について議論したい。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp

第56回

日時: 2017年11月14日(火) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: Dmitri B. Papkovsky (Professor, School of Biochemistry and Cell Biology, University College Cork, Cork, Ireland)
司会: 正本 和人 教授
題目: New insights into cell/tissue function and metabolism by means of phosphorescent oxygen sensing probes
概要: Molecular oxygen (O2) has a multitude of important biological roles. It is also a useful marker of cell/tissue function and readout parameter which can report on changes in cell metabolism and bioenergetics, tissue (patho)physiology, responses to drug treatment and other stimuli. Various in vitro, ex-vivo and in vivo cell and tissue models are currently used in biomedical research, however for many of them control of sample oxygenation and cellular O2 levels is inadequate. Phosphorescence based O2 sensing technologies can address these challenges and provide convenient and versatile means for direct, real-time, quantitative monitoring of O2 levels in various compartments of complex biological samples, including in situ monitoring of cellular Oand high-resolution mapping O2 concentration in 3D. A number of advanced O2 sensing and imaging platforms have been developed in recent years, which operate with solid-state sensors, soluble probes or imaging nanosensors and in conjunction with portable handheld instruments, commercial plate readers and sophisticated live cell imaging platforms.  I will provide examples how these sensor systems can be used in physiological studies with simple 2D cell models, more complex micro-tissue models (multicellular spheroids, heterocellular organoids, cultured tissue slices), live animals, and with common disease models such as hypoxia, cancer, inflammation.
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp