Date and Time: July 15 (Wed.), 2022, 13:30 – 15:00
Place: E3-301 + (Online streaming)
Speaker: Masako Tamaki (RIKEN Hakubi Team Leader, CPR, CBS, RIKEN)
Chair: MIYAWAKI Yoichi Professor
Title: 視覚学習に睡眠はどのような役割を果たすのか
Abstract 視覚学習において睡眠が重要な役割を果たすことが示唆されている。睡眠に伴う視覚学習の向上には、技能のオフラインゲイン(飛躍的な向上)と固定化(干渉に対する頑健さ)という二つの側面がある。発表者らは、これらの2側面における、ノンレム睡眠およびレム睡眠中の脳の可塑性の役割を検討した。ヒトの睡眠中の視覚野における可塑性を非侵襲的に調べるため、MRスペクトロスコピーと睡眠ポリグラフの同時計測を実施した。各睡眠ステージにおけるグルタミン酸とγアミノ酪酸の濃度を計測し、これらの比をとり、脳の興奮抑制(EI)バランス(視覚野の可塑性と相関する)を求めた。視覚野におけるEIバランスは、ノンレム睡眠中に増加し、レム睡眠中に低下した。ノンレム睡眠時のEIバランスはオフラインゲインと相関し、レム睡眠時のEIバランスは固定化の程度と相関した。ノンレム睡眠とレム睡眠は、相反する神経化学的プロセスに基づき、視覚学習において相補的な役割を果たす可能性がある。