Date and Time: July 27 (Tue.), 2021, 11:00 – 12:00
Place: Online (Zoom)
Speaker: Assoc. Prof. Daisuke HOSHINO (Graduate School of Informatics and Engineering, Department of Engineering Science)
Chair: Prof. Kazuto MASAMOTO (Graduate School of Informatics and Engineering, Department of Mechanical and Intelligent Systems Engineering)
Title: 筋収縮後の細胞応答を理解するー運動システム生物学研究を目指してー
Abstract: 運動を定期的に繰り返すと,骨格筋が大きくなったり,持久力が増加し疲れにくくなったりする.このような骨格筋の適応は,運動後の一過的な細胞応答の繰り返しにより,引き起こされると考えられている.よって,運動後の一過的な細胞応答を調べることは,運動適応を解明する上で重要である.筋収縮後の細胞応答の理解を目指し,実施した2つの研究を報告する.1つめは,多階層にまたがるオミクス解析 (生物情報の網羅解析)である.C2C12筋管細胞に電気刺激による収縮をおこなった後,代謝物および遺伝子発現のオミクス解析 (メタボローム,トランスクリプトーム)を実施した.オミクス階層をつなぐ解析により,多階層にまたがる筋収縮による代謝ネットワークを構築した.この多階層の代謝ネットワークの妥当性について実験的に検証したところ,活性酸素種を介したシグナル伝達が,代謝経路の活性化のメカニズムの一つであることが明らかとされた.2つめは,少数の分子に着目した数理モデルの構築とシミュレーションである.具体的には,筋収縮後のシグナル分子の活性化の数理モデルの構築と運動による乳酸産生量の算出(とシグナル分子の活性化との関係)である.以上のようなシステム生物学的なアプローチを含んだ研究が,筋収縮後の細胞応答を真に理解することにつながるのではと考え,研究に取り組んでいる.