Date and Time: December 18 (Fri.), 2020, 13:00 – 14:30
Place: Online (Zoom)
Speaker: Rika Numano (Associate Professor, Department of Applied Chemistry and Life Science, Electronics-Inspired Interdisciplinary Research Institute, Toyohashi University of Technology)
Chair: Assist. Prof. Atsushi Nakamura
Title: Spatiotemporal Photoactivation of input pathway in circadian rhythms using Light-Gated Glutamate Receptor
Abstract: 我々は、これまで、照射する光の波長により化合物の骨格構造が変化する光反応性人工化合物Maleimide Azobenzene Glutamic acid (MAG)を合成し、これを用いて、神経活動を制御する実験系を確立している。MAGという化合物は,、①グルタミン酸受容体のリガンド結合部位の付近に結合し、②UV領域の光でシス体となり、可視領域の光でトランス体となるアゾベンゼン構造を骨格に有し、③グルタミン酸受容体のリガンドであるグルタミン酸を持ち、UV&可視領域の光を交互に照射することでグルタミン酸作動性神経活動を興奮させることができる。
一方、地球上の生物は、約24時間周期の概日リズムを持ち、これを用いて自らの生理機能や行動を約24時間周期で自律的に駆動し、明暗条件などの外界環境によりその位相をリセットする。哺乳類の概日時計の中枢は、脳内の視床下部に存在する視交叉上核(SCN)であり、そこでPeriod1(Per1)遺伝子をはじめとする時計遺伝子の約24時間周期の発現リズムによって、概日リズムが規定される。グルタミン酸受容体がSCN神経細胞のポストシナプス部位に発現し, 目から入ったインプットである光刺激がSCNのグルタミン酸受容体への刺激となり, Per1遺伝子が発現誘導されることが知られている。今回, MAGの改良型化合物を用いて、SCNの神経細胞を時空間特的に光刺激し、その後におこる概日リズムの変化を観察した。具体的には、Per1遺伝子の発現のタイミングをGFP(緑色蛍光タンパク質)レポーターやluciferase (ホタル蛍化学発光タンパク質) レポーターで観察できる組換えマウスの脳スライスを用いてタイムラプスにて観察した。その結果、SCNでは、概日リズムのインプット情報を様々に調整して、SCN全体として個々の細胞の時計機能がシンクロし、組織として強い自律的なペースメーカーの役割を担っていることが明らかになった。