Date and Time: January 18 (Wed.), 2023, 14:40 – 16:10
Place: E3-306
Speaker: Yoshitaka Fukada (Emeritus Professor, Graduate School of Science Department of Biological Sciences, The University of Tokyo)
Chair: Atsushi Nakamura Assistant Professor
Title: 約24時間周期で振動する体内時計の分子的な仕組み
Abstract: 地球上の一日周期のダイナミックな環境変化に適応し、多くの生物は体内時計を獲得した。体内時計に支配される概ね一日(24±3時間)周期の生理現象は概日リズムと呼ばれる。概日時計は安定な約24時間周期のリズムを安定に刻む「頑強性」を示す一方、明暗周期など様々な外界シグナルに同調できるという「柔軟性」を持つ。これらの特性に加え、概日時計の周期は環境温度が変化しても大きく変化しないという独特の特性、すなわち「温度補償性」を持つ。約24時間の周期性は、いわゆる時計遺伝子(多くは転写調節因子)による転写と翻訳の負のフィードバック制御から成り立っていると考えられている。ほぼ全ての化学反応は、温度が10度上がると反応速度は2-3倍になり、転写や翻訳などの反応も例外ではない。概日リズムを温度補償するためには、温度変化に応じて転写・翻訳フィードバックループの振動速度を調整することが必要と思われるが、その実体は不明である。本講演においては、これら概日時計のいくつかの特性を支える分子メカニズムについて、私どもの研究成果を中心にご紹介したい。