3Dプリンタによる実験器具試作(第15-16回)

実施場所:東3-721

レポーター:森下壮一郎

本体験型講義では、「3Dプリンターによる実験器具試作」では、CAD(Computer Aided Design)による実験器具の作成を目的として、3Dプリンタによるラピッドプロトタイピングの実習が行われました。具体的には、電動義手の3DモデルをCADツールで編集し、物理シミュレーションを行いながら物体把持に適した指形状を試行錯誤的に決定します。そして3Dプリンタで部品を造形した後、モータを組み込んで試作品を完成させます。

第15回

1日目(第15回)は、まず座学でCADおよびCAM(Computer Aided Manufacturing)の概要と、3Dプリンタの原理と歴史、その登場によるCAMの変容、3Dモデル統合開発環境Blenderのあらましなど、雑学を交えての包括的なレクチャーが行われました。そしてBlenderで実際に電動義手の3Dモデルを編集しながら操作方法を学び、物理シミュレーションモードに適宜切替えながら指の太さや長さ、関節角を決める作業を行いました。一通り設計が終わったところで、実習者に簡単に設計方針のプレゼンテーションをしてもらいました。シミュレーションの結果を見ると、物体を包み込むような指形状が良いようです。その後、3Dプリンタが設置してある部屋に移動して装置の見学を行いました。3Dプリンタによる造形には数時間要するので、次の実習までにTAが出力を済ませておきます。

第16回

2日目(第16回)は、組立作業です。電動義手のパーツにモータを組み込むために、まず外装を取り外す作業から始めました。取り外した外装とねじ穴の位置が一致するように電動義手のパーツがデザインされていますが、ねじ切りがされていないので、この作業でねじ山をつぶしてしまうことが多いようです。また、分割された指パーツを設計通りの角度になるように手掌部に接合する点と、モータを組み付けるときにモータの可動範囲と義手の可動範囲とを合わせる点とが難所でした。こうして出来上がった電動義手の骨格に、エラストマー樹脂で作られたグローブ(ヒトの手を模した手袋状のもの)をかぶせて完成です。簡単な動作チェックとして、ペットボトルや工具、スマートフォンなどの日用品を把持させて授業は終わりました。本格的な動作確認および評価は、「EMGによる外部機器制御」で行います。